JPH05264508A - 焼入硬化範囲の非破壊測定方法及びその装置 - Google Patents
焼入硬化範囲の非破壊測定方法及びその装置Info
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- JPH05264508A JPH05264508A JP8150592A JP8150592A JPH05264508A JP H05264508 A JPH05264508 A JP H05264508A JP 8150592 A JP8150592 A JP 8150592A JP 8150592 A JP8150592 A JP 8150592A JP H05264508 A JPH05264508 A JP H05264508A
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Landscapes
- Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Magnetic Means (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 部分焼入れした強磁性体材料の焼入硬化範囲
を感度よく明確にしかも非破壊で測定することが可能な
焼入硬化範囲の非破壊測定方法及びその装置を提供する
ことを目的とする。 【構成】 強磁性体材料(W) の焼入硬化範囲を測定する
ものであって、材料を交番磁化するときに生じるバルク
ハウゼン効果雑音が焼入れにより変化することを用い
て、部分焼入れした材料の焼入部(a) と非焼入部(b) の
バルクハウゼン効果雑音の平均信号レベル(V2)を基準電
圧(Vs)と比較することにより焼入境界を測定する。
を感度よく明確にしかも非破壊で測定することが可能な
焼入硬化範囲の非破壊測定方法及びその装置を提供する
ことを目的とする。 【構成】 強磁性体材料(W) の焼入硬化範囲を測定する
ものであって、材料を交番磁化するときに生じるバルク
ハウゼン効果雑音が焼入れにより変化することを用い
て、部分焼入れした材料の焼入部(a) と非焼入部(b) の
バルクハウゼン効果雑音の平均信号レベル(V2)を基準電
圧(Vs)と比較することにより焼入境界を測定する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、部分焼入れした強磁性
体材料の焼入硬化範囲を非破壊で測定することが可能な
焼入硬化範囲の非破壊測定方法及びその装置に関する。
体材料の焼入硬化範囲を非破壊で測定することが可能な
焼入硬化範囲の非破壊測定方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、部分焼入れした強磁性体材料の焼
入硬化範囲を測定することが可能な効率的な測定方法及
び装置は存在しなかった。ただ、交番磁界を発生する電
磁石によって強磁性体材料の表面に渦電流を誘起し、こ
の渦電流によって誘導される磁界を検出コイルで測定す
る渦電流法は公知であり、材料の電気的特性によって渦
電流の発生状況が異なることを利用して焼入状況を検出
することは不可能ではない。しかし、この渦電流法で
は、焼入部と非焼入部とで測定される信号の差はあまり
大きくはなく、そのため焼入硬化範囲を明確に同定し、
その境界をも特定することは不可能である。
入硬化範囲を測定することが可能な効率的な測定方法及
び装置は存在しなかった。ただ、交番磁界を発生する電
磁石によって強磁性体材料の表面に渦電流を誘起し、こ
の渦電流によって誘導される磁界を検出コイルで測定す
る渦電流法は公知であり、材料の電気的特性によって渦
電流の発生状況が異なることを利用して焼入状況を検出
することは不可能ではない。しかし、この渦電流法で
は、焼入部と非焼入部とで測定される信号の差はあまり
大きくはなく、そのため焼入硬化範囲を明確に同定し、
その境界をも特定することは不可能である。
【0003】一方、表面のみ硬化する高周波焼入れやビ
ーム焼入れにおいて、その焼入効果を検討するうえにも
その硬化範囲(表面の範囲と硬化深さ)を非破壊で測定
する要望が多い。
ーム焼入れにおいて、その焼入効果を検討するうえにも
その硬化範囲(表面の範囲と硬化深さ)を非破壊で測定
する要望が多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が前述の状況に
鑑み、解決しようとするところは、部分焼入れした強磁
性体材料の焼入硬化範囲を感度よく明確にしかも非破壊
で測定することが可能な焼入硬化範囲の非破壊測定方法
及びその装置を提供する点にある。
鑑み、解決しようとするところは、部分焼入れした強磁
性体材料の焼入硬化範囲を感度よく明確にしかも非破壊
で測定することが可能な焼入硬化範囲の非破壊測定方法
及びその装置を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題解
決のために、強磁性体材料の焼入硬化範囲を測定するも
のであって、材料を交番磁化するときに生じるバルクハ
ウゼン効果雑音が焼入れにより変化することを用いて、
部分焼入れした材料の焼入部と非焼入部のバルクハウゼ
ン効果雑音の平均信号レベルを基準電圧と比較すること
により焼入境界を測定してなる焼入硬化範囲の非破壊測
定方法を確立した。
決のために、強磁性体材料の焼入硬化範囲を測定するも
のであって、材料を交番磁化するときに生じるバルクハ
ウゼン効果雑音が焼入れにより変化することを用いて、
部分焼入れした材料の焼入部と非焼入部のバルクハウゼ
ン効果雑音の平均信号レベルを基準電圧と比較すること
により焼入境界を測定してなる焼入硬化範囲の非破壊測
定方法を確立した。
【0006】また、強磁性体材料の焼入硬化範囲を測定
するものであって、材料を交番磁化させるヨーク型電磁
石と、該電磁石の間に配し且つ材料の表面上を電磁石と
相対的に移動可能な検出コイルと、該検出コイルに生じ
る二次電圧信号からバルクハウゼン効果雑音信号のみ取
り出す検波整流回路と、該検波整流回路による信号を基
準電圧と比較する比較回路とよりなる焼入硬化範囲の非
破壊測定装置を構成した。
するものであって、材料を交番磁化させるヨーク型電磁
石と、該電磁石の間に配し且つ材料の表面上を電磁石と
相対的に移動可能な検出コイルと、該検出コイルに生じ
る二次電圧信号からバルクハウゼン効果雑音信号のみ取
り出す検波整流回路と、該検波整流回路による信号を基
準電圧と比較する比較回路とよりなる焼入硬化範囲の非
破壊測定装置を構成した。
【0007】
【作用】以上の如き内容からなる本発明の焼入硬化範囲
の非破壊測定方法及びその装置は、強磁性体材料を焼入
れした場合、焼入硬化した範囲は圧縮残留応力を生じ、
その周辺では引張り残留応力を生じており、この状態の
材料を交番磁化した際に発生するバルクハウゼン効果雑
音の大きさが圧縮応力で小さく、引張り応力で大きくな
る特性を利用している。そして、強磁性体材料を電磁石
で測定範囲をカバーするように交番磁化し、検出コイル
を電磁石に対して相対的に移動させながらバルクハウゼ
ン効果雑音信号を検出して、引張り応力から圧縮応力に
変わる部分をその平均信号レベルがある基準電圧より大
から小に変わることを比較回路で検知して、測定範囲の
焼入部と非焼入部との境界を精度よく検出し、もって焼
入硬化範囲を測定するものである。
の非破壊測定方法及びその装置は、強磁性体材料を焼入
れした場合、焼入硬化した範囲は圧縮残留応力を生じ、
その周辺では引張り残留応力を生じており、この状態の
材料を交番磁化した際に発生するバルクハウゼン効果雑
音の大きさが圧縮応力で小さく、引張り応力で大きくな
る特性を利用している。そして、強磁性体材料を電磁石
で測定範囲をカバーするように交番磁化し、検出コイル
を電磁石に対して相対的に移動させながらバルクハウゼ
ン効果雑音信号を検出して、引張り応力から圧縮応力に
変わる部分をその平均信号レベルがある基準電圧より大
から小に変わることを比較回路で検知して、測定範囲の
焼入部と非焼入部との境界を精度よく検出し、もって焼
入硬化範囲を測定するものである。
【0008】
【実施例】次に添付図面に示した実施例に基づき更に本
発明の詳細を説明する。図1は焼入硬化範囲の測定状態
を示したプローブ部の簡略配置図であり、図2はその測
定回路を示し、図中Wは部分焼入れした強磁性体材料、
1は電磁石、2は検出コイルを示している。ここで、材
料Wの表面において、aは焼入部、bは非焼入部をそれ
ぞれ示し、焼入部aは高周波焼入れやレーザーによるビ
ーム焼入れによって形成している。
発明の詳細を説明する。図1は焼入硬化範囲の測定状態
を示したプローブ部の簡略配置図であり、図2はその測
定回路を示し、図中Wは部分焼入れした強磁性体材料、
1は電磁石、2は検出コイルを示している。ここで、材
料Wの表面において、aは焼入部、bは非焼入部をそれ
ぞれ示し、焼入部aは高周波焼入れやレーザーによるビ
ーム焼入れによって形成している。
【0009】強磁性体材料Wを交番磁化するための電磁
石1は、コ字形のヨーク芯3の両端部に励磁用コイル4
を巻回し、図示しない電源から電流を供給して交番磁界
を発生するものである。両励磁用コイル4,4の間隔
は、材料Wの測定範囲を十分にカバーし得るように設定
されている。ここで、交番磁界の周波数(電源の周波
数)は、10Hz〜1kHz程度の範囲が利用できる。
周波数が高くなるに従い、また電流が大きくなるに従
い、バルクハウゼン効果雑音信号(以下、これを「BN
信号」と称する。)は大きくなる傾向があるが、電流を
あまり大きくしてもBN信号が飽和するとともに、電磁
石1の発熱量が多くなるので好ましくない。また、周波
数が10Hz以下ではBN信号が小さく、1kHz以上
では交番磁界が材料Wの内部にあまり浸透しないので、
前述の周波数範囲内にとどめることが好ましい。本実施
例では、交番磁界の周波数を150Hzに設定してい
る。
石1は、コ字形のヨーク芯3の両端部に励磁用コイル4
を巻回し、図示しない電源から電流を供給して交番磁界
を発生するものである。両励磁用コイル4,4の間隔
は、材料Wの測定範囲を十分にカバーし得るように設定
されている。ここで、交番磁界の周波数(電源の周波
数)は、10Hz〜1kHz程度の範囲が利用できる。
周波数が高くなるに従い、また電流が大きくなるに従
い、バルクハウゼン効果雑音信号(以下、これを「BN
信号」と称する。)は大きくなる傾向があるが、電流を
あまり大きくしてもBN信号が飽和するとともに、電磁
石1の発熱量が多くなるので好ましくない。また、周波
数が10Hz以下ではBN信号が小さく、1kHz以上
では交番磁界が材料Wの内部にあまり浸透しないので、
前述の周波数範囲内にとどめることが好ましい。本実施
例では、交番磁界の周波数を150Hzに設定してい
る。
【0010】そして、前記電磁石1の両励磁用コイル
4,4間に配する検出コイル2は、BN信号の検出効率
を上げるためフェライトコア5に巻回され、フェライト
コア5の先端を材料Wの表面上に接触させながら走査す
るのである。ここで、前記電磁石1の励磁用コイル4,
4を結ぶ方向をX軸とし、それに直交する材料Wの表面
に沿った方向をY軸とすると、前記検出コイル2は、電
磁石1に対して適宜な治具によってX−Y平面を自由に
相対的に移動可能となしている。また、検出コイル2の
フェライトコア5を細くすれば、容易に0.5mm程度
の精度を出すことが可能である。
4,4間に配する検出コイル2は、BN信号の検出効率
を上げるためフェライトコア5に巻回され、フェライト
コア5の先端を材料Wの表面上に接触させながら走査す
るのである。ここで、前記電磁石1の励磁用コイル4,
4を結ぶ方向をX軸とし、それに直交する材料Wの表面
に沿った方向をY軸とすると、前記検出コイル2は、電
磁石1に対して適宜な治具によってX−Y平面を自由に
相対的に移動可能となしている。また、検出コイル2の
フェライトコア5を細くすれば、容易に0.5mm程度
の精度を出すことが可能である。
【0011】図2は測定回路を示し、検出コイル2の両
端間に生じるBN信号を含む二次電圧信号をハイパス増
幅器6を通して、高周波成分(100kHz程度)であ
るBN信号のみ増幅した後(電圧信号V1 )、検波整流
回路7に入力してBN信号の正成分を平滑化し、そして
それによって得られたBN信号の平均信号レベル(電圧
信号V2 )を比較回路8で基準電圧Vsと比較して、電
圧信号V2 が基準電圧Vsより大きい場合に比較回路8
の出力電圧信号V3 は高レベルとなり、逆の場合には電
圧信号V3 は低レベルとなる。ここで、ハイパス増幅器
6は、ハイパスフィルターと1000倍程度の高周波増
幅器から構成され、また検波整流回路7は、ダイオード
DとコンデンサCとで構成され、更に比較回路8は、コ
ンパレータで構成されている。焼入部aのBN信号より
非焼入部bのBN信号の振幅は大きいので、電圧信号V
3 が低レベルの場合には焼入部aを検出し、高レベルの
場合には非焼入部bを検出したことになる。そして、電
圧信号V3 が低レベルから高レベルに変わる位置又は高
レベルから低レベルに変わる位置が焼入部aと非焼入部
bの焼入境界を示すのである。非焼入部bは引張り残留
応力を生じており、焼入部aは圧縮残留応力となってい
るから、その境界は鮮明に判る。
端間に生じるBN信号を含む二次電圧信号をハイパス増
幅器6を通して、高周波成分(100kHz程度)であ
るBN信号のみ増幅した後(電圧信号V1 )、検波整流
回路7に入力してBN信号の正成分を平滑化し、そして
それによって得られたBN信号の平均信号レベル(電圧
信号V2 )を比較回路8で基準電圧Vsと比較して、電
圧信号V2 が基準電圧Vsより大きい場合に比較回路8
の出力電圧信号V3 は高レベルとなり、逆の場合には電
圧信号V3 は低レベルとなる。ここで、ハイパス増幅器
6は、ハイパスフィルターと1000倍程度の高周波増
幅器から構成され、また検波整流回路7は、ダイオード
DとコンデンサCとで構成され、更に比較回路8は、コ
ンパレータで構成されている。焼入部aのBN信号より
非焼入部bのBN信号の振幅は大きいので、電圧信号V
3 が低レベルの場合には焼入部aを検出し、高レベルの
場合には非焼入部bを検出したことになる。そして、電
圧信号V3 が低レベルから高レベルに変わる位置又は高
レベルから低レベルに変わる位置が焼入部aと非焼入部
bの焼入境界を示すのである。非焼入部bは引張り残留
応力を生じており、焼入部aは圧縮残留応力となってい
るから、その境界は鮮明に判る。
【0012】次に、強磁性体材料を交番磁化するときバ
ルクハウゼン効果雑音が発生するメカニズムについて簡
単に説明する。強磁性体である鉄やニッケル等の遷移金
属では電子雲の外側に位置する3d軌道の電子が過剰と
なっており、それぞれの原子が磁子として作用し、その
磁子が同じ向きに配列して巨視的な磁石を構成する。こ
の磁石は自発磁化と呼ばれるかなり大きな磁区を構成
し、各磁区ごとに磁化している方向は異なり、エネルギ
ー的になるべる低くなるように隣接する磁区の磁化の方
向は互いに連ねて閉じている。このような状況のもとで
は、外部に対して磁性的中性を保っている。ここで、外
部から磁界を与えると、磁界と同じ方向若しくはそれに
近い方向に自発磁化した磁区の領域が広くなって、全体
として磁化し、大部分の磁区が磁界に近い方向を向いた
後、更に磁界を強くすると、自発磁化の向きが磁界の方
向を向くように磁区が回転する。この磁化過程で磁区と
磁区との境界の磁壁は移動する。もし、磁壁がスムース
に運動するなら磁化もスムースに進行し、不規則信号電
圧は生じないはずであるが、材料の結晶内の不純物や欠
陥によって磁壁の運動はスムースでなくなり、あるいは
多結晶では結晶方位が不規則であるから、結晶粒ごとに
磁化(磁壁の移動)を始める時期(磁界の強さ)が異な
り、磁化に不連続又は緩急を生じ、不規則信号即ちBN
信号が発生する。BN信号は、材料の表面近傍で磁壁を
またいで隣の磁区との間に生じた漏れ磁束を捕らえたも
のである。このように、BN信号の大きさは材料中の不
純物及び欠陥の多少によって変化し、またBN信号は応
力によっても変わる性質があり、引張り応力では磁化が
容易となり磁壁の移動は速くなってBN信号は大きくな
る。他方、圧縮応力では逆に磁化が困難に(磁化率が小
さく)なり、磁壁の移動は遅く、BN信号は小さくな
る。一般的に焼入れすることによって、圧縮残留応力を
生じるため、BN信号は小さくなる。また、BN信号は
交番磁界の変化が大きいときにも大きく発生する。
ルクハウゼン効果雑音が発生するメカニズムについて簡
単に説明する。強磁性体である鉄やニッケル等の遷移金
属では電子雲の外側に位置する3d軌道の電子が過剰と
なっており、それぞれの原子が磁子として作用し、その
磁子が同じ向きに配列して巨視的な磁石を構成する。こ
の磁石は自発磁化と呼ばれるかなり大きな磁区を構成
し、各磁区ごとに磁化している方向は異なり、エネルギ
ー的になるべる低くなるように隣接する磁区の磁化の方
向は互いに連ねて閉じている。このような状況のもとで
は、外部に対して磁性的中性を保っている。ここで、外
部から磁界を与えると、磁界と同じ方向若しくはそれに
近い方向に自発磁化した磁区の領域が広くなって、全体
として磁化し、大部分の磁区が磁界に近い方向を向いた
後、更に磁界を強くすると、自発磁化の向きが磁界の方
向を向くように磁区が回転する。この磁化過程で磁区と
磁区との境界の磁壁は移動する。もし、磁壁がスムース
に運動するなら磁化もスムースに進行し、不規則信号電
圧は生じないはずであるが、材料の結晶内の不純物や欠
陥によって磁壁の運動はスムースでなくなり、あるいは
多結晶では結晶方位が不規則であるから、結晶粒ごとに
磁化(磁壁の移動)を始める時期(磁界の強さ)が異な
り、磁化に不連続又は緩急を生じ、不規則信号即ちBN
信号が発生する。BN信号は、材料の表面近傍で磁壁を
またいで隣の磁区との間に生じた漏れ磁束を捕らえたも
のである。このように、BN信号の大きさは材料中の不
純物及び欠陥の多少によって変化し、またBN信号は応
力によっても変わる性質があり、引張り応力では磁化が
容易となり磁壁の移動は速くなってBN信号は大きくな
る。他方、圧縮応力では逆に磁化が困難に(磁化率が小
さく)なり、磁壁の移動は遅く、BN信号は小さくな
る。一般的に焼入れすることによって、圧縮残留応力を
生じるため、BN信号は小さくなる。また、BN信号は
交番磁界の変化が大きいときにも大きく発生する。
【0013】図3及び図4に、実際に測定したBN信号
の例を示す。図3は焼入部aを測定した信号であり、高
周波信号がBN信号であり、低周波信号は電磁石1の励
磁電流である。図4は非焼入部bを測定した同様な信号
である。これらBN信号はハイパス増幅器6を通した後
の電圧信号V1 である。
の例を示す。図3は焼入部aを測定した信号であり、高
周波信号がBN信号であり、低周波信号は電磁石1の励
磁電流である。図4は非焼入部bを測定した同様な信号
である。これらBN信号はハイパス増幅器6を通した後
の電圧信号V1 である。
【0014】図5は、部分焼入れした強磁性体材料Wの
焼入硬化した境界を挟んだ位置に電磁石1を配し、その
電磁石1の励磁用コイル4,4間で検出コイル2を往復
移動させた場合の電圧信号V2 を示している。この結
果、焼入硬化した境界部で平均信号レベルは1/2以下
に急激に変化し、この信号変化部の立上り又は立下りは
検出コイル2の走査速度及びタイムスケールを考慮すれ
ば約1mmである。本発明は、このように焼入硬化した
境界を約1mm以内の高精度で測定することが可能であ
る。
焼入硬化した境界を挟んだ位置に電磁石1を配し、その
電磁石1の励磁用コイル4,4間で検出コイル2を往復
移動させた場合の電圧信号V2 を示している。この結
果、焼入硬化した境界部で平均信号レベルは1/2以下
に急激に変化し、この信号変化部の立上り又は立下りは
検出コイル2の走査速度及びタイムスケールを考慮すれ
ば約1mmである。本発明は、このように焼入硬化した
境界を約1mm以内の高精度で測定することが可能であ
る。
【0015】また、図6に示したチャートは、図1に示
した配置で、検出コイル2を移動した場合における測定
回路の各部の電圧信号を示している。平均信号レベルV
2 を基準電圧Vsと比較することによって、焼入部aと
非焼入部bの境界をシャープに検出することができ、ま
たその電圧信号V3 が低レベルの場合には測定点が焼入
部aであることが判り、逆に高レベルの場合には測定点
が非焼入部bであることが判るのである。更に、電磁石
1の位置を特定した状態で、検出コイル2の変位をエン
コーダーで測定しながら出力電圧信号V3 をモニター
し、それを二値化して記憶装置に入力し、マイクロコン
ピュータによってデータ処理し、材料表面の焼入部a及
び非焼入部bの範囲を特定したマップを作成することも
可能である。
した配置で、検出コイル2を移動した場合における測定
回路の各部の電圧信号を示している。平均信号レベルV
2 を基準電圧Vsと比較することによって、焼入部aと
非焼入部bの境界をシャープに検出することができ、ま
たその電圧信号V3 が低レベルの場合には測定点が焼入
部aであることが判り、逆に高レベルの場合には測定点
が非焼入部bであることが判るのである。更に、電磁石
1の位置を特定した状態で、検出コイル2の変位をエン
コーダーで測定しながら出力電圧信号V3 をモニター
し、それを二値化して記憶装置に入力し、マイクロコン
ピュータによってデータ処理し、材料表面の焼入部a及
び非焼入部bの範囲を特定したマップを作成することも
可能である。
【0016】本実施例では、以上述べたように部分焼入
れした強磁性体材料Wの焼入硬化範囲を精度よく非破壊
で測定することができるが、歯車のように外周部を焼入
れした部品においては、その側面の焼入硬化範囲を測定
することによって焼入れ深さもかなり精度よく非破壊で
測定可能である。更に、BN信号を完全焼入れした同一
材料のBN信号と比較することによって、焼入れの良否
を判断することも可能である。
れした強磁性体材料Wの焼入硬化範囲を精度よく非破壊
で測定することができるが、歯車のように外周部を焼入
れした部品においては、その側面の焼入硬化範囲を測定
することによって焼入れ深さもかなり精度よく非破壊で
測定可能である。更に、BN信号を完全焼入れした同一
材料のBN信号と比較することによって、焼入れの良否
を判断することも可能である。
【0017】
【発明の効果】以上にしてなる本発明の焼入硬化範囲の
非破壊測定方法及びその装置によれば、部分焼入れした
強磁性体材料の焼入部と非焼入部の境界、即ち焼入硬化
範囲を1mm程度又はそれ以下の高精度で、しかも非破
壊で簡単に測定することができ、またその測定において
は、電磁石及び検出コイルを被検査体から0.2〜0.
3mm程度浮かせて測定することもできるので電磁石と
検出コイルを一体化して100mm/秒以上の高速で全
数検査(1個/30秒以内)もでき、生産ラインにおけ
る自動検査にも用いることができる。
非破壊測定方法及びその装置によれば、部分焼入れした
強磁性体材料の焼入部と非焼入部の境界、即ち焼入硬化
範囲を1mm程度又はそれ以下の高精度で、しかも非破
壊で簡単に測定することができ、またその測定において
は、電磁石及び検出コイルを被検査体から0.2〜0.
3mm程度浮かせて測定することもできるので電磁石と
検出コイルを一体化して100mm/秒以上の高速で全
数検査(1個/30秒以内)もでき、生産ラインにおけ
る自動検査にも用いることができる。
【図1】本発明にかかる装置のプローブ部を示す簡略断
面図である。
面図である。
【図2】その測定回路を示す簡略回路図である。
【図3】焼入部のBN信号を示すオシログラフである。
【図4】非焼入部のBN信号を示すオシログラフであ
る。
る。
【図5】焼入部と非焼入部の境界をまたいで検出コイル
を往復させて測定したBN信号の平均信号レベルのオシ
ログラフである。
を往復させて測定したBN信号の平均信号レベルのオシ
ログラフである。
【図6】図2に示した測定回路の各部の電圧信号を示す
簡略チャートである。
簡略チャートである。
W 材料 a 焼入部 b 非焼入部 1 電磁石 2 検出コイル 3 ヨーク芯 4 励磁用コイル 5 フェライトコア 6 ハイパス増幅器 7 検波整流回路 8 比較回路
Claims (2)
- 【請求項1】 強磁性体材料の焼入硬化範囲を測定する
ものであって、材料を交番磁化するときに生じるバルク
ハウゼン効果雑音が焼入れにより変化することを用い
て、部分焼入れした材料の焼入部と非焼入部のバルクハ
ウゼン効果雑音の平均信号レベルを基準電圧と比較する
ことにより焼入境界を測定することを特徴とする焼入硬
化範囲の非破壊測定方法。 - 【請求項2】 強磁性体材料の焼入硬化範囲を測定する
ものであって、材料を交番磁化させるヨーク型電磁石
と、該電磁石の間に配し且つ材料の表面上を電磁石と相
対的に移動可能な検出コイルと、該検出コイルに生じる
二次電圧信号からバルクハウゼン効果雑音信号のみ取り
出す検波整流回路と、該検波整流回路による信号を基準
電圧と比較する比較回路とよりなることを特徴とする焼
入硬化範囲の非破壊測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8150592A JPH05264508A (ja) | 1992-03-02 | 1992-03-02 | 焼入硬化範囲の非破壊測定方法及びその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8150592A JPH05264508A (ja) | 1992-03-02 | 1992-03-02 | 焼入硬化範囲の非破壊測定方法及びその装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05264508A true JPH05264508A (ja) | 1993-10-12 |
Family
ID=13748221
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8150592A Pending JPH05264508A (ja) | 1992-03-02 | 1992-03-02 | 焼入硬化範囲の非破壊測定方法及びその装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05264508A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008170233A (ja) * | 2007-01-10 | 2008-07-24 | Toyota Motor Corp | 焼き入れ深さ測定装置および焼き入れ深さ測定方法 |
JP2009507220A (ja) * | 2005-09-05 | 2009-02-19 | スカニア シーブイ アクチボラグ(パブル) | 磁気バルクハウゼン・ノイズによる硬さ推定に基づいて鋳鉄製の構成部材を処理する方法 |
JP2009109358A (ja) * | 2007-10-30 | 2009-05-21 | Toyota Motor Corp | 焼入パターンの測定方法 |
JP2012132870A (ja) * | 2010-12-24 | 2012-07-12 | Neturen Co Ltd | 焼入範囲検出方法及び焼入範囲検査方法 |
JP2016164537A (ja) * | 2015-03-06 | 2016-09-08 | 高周波熱錬株式会社 | 硬化層深さ測定装置 |
US10816414B2 (en) | 2018-10-11 | 2020-10-27 | Ford Motor Company | Methods of non-destructive residual stress measurement using Barkhausen Noise and use of such methods |
-
1992
- 1992-03-02 JP JP8150592A patent/JPH05264508A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009507220A (ja) * | 2005-09-05 | 2009-02-19 | スカニア シーブイ アクチボラグ(パブル) | 磁気バルクハウゼン・ノイズによる硬さ推定に基づいて鋳鉄製の構成部材を処理する方法 |
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US10816414B2 (en) | 2018-10-11 | 2020-10-27 | Ford Motor Company | Methods of non-destructive residual stress measurement using Barkhausen Noise and use of such methods |
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