厚真町
厚真町(あつまちょう)は、北海道胆振総合振興局管内勇払郡にある町。道央南部に位置する[1]。
あつまちょう 厚真町 | |||||
---|---|---|---|---|---|
| |||||
国 | 日本 | ||||
地方 | 北海道地方 | ||||
都道府県 | 北海道(胆振総合振興局) | ||||
郡 | 勇払郡 | ||||
市町村コード | 01581-4 | ||||
法人番号 | 7000020015814 | ||||
面積 |
405.38km2 (境界未定部分あり) | ||||
総人口 |
4,237人 [編集] (住民基本台帳人口、2024年10月31日) | ||||
人口密度 | 10.5人/km2 | ||||
隣接自治体 | 苫小牧市、夕張市、勇払郡安平町、むかわ町、夕張郡由仁町 | ||||
町の木 | コブシ | ||||
町の花 | ヤマツツジ | ||||
他のシンボル |
町の鳥 : ウグイス 町の獣 : 厚真犬 公式マスコット : あつまるくん | ||||
厚真町役場 | |||||
町長 | 宮坂尚市朗 | ||||
所在地 |
〒059-1692 北海道勇払郡厚真町京町120番地 北緯42度43分25秒 東経141度52分41秒 / 北緯42.72367度 東経141.87794度座標: 北緯42度43分25秒 東経141度52分41秒 / 北緯42.72367度 東経141.87794度 | ||||
外部リンク | 公式ウェブサイト | ||||
ウィキプロジェクト |
地理
編集胆振総合振興局管内東部にある。夕張山地から太平洋へと南流する厚真川の流域をほぼそのまま町域としており、南北に長い。中心市街地である本町は厚真川中流付近にある。鉄道(JR北海道日高本線)や国道235号は太平洋沿いの浜厚真地区を通過する。浜厚真地区の海岸はサーフィンに適しており、訪れるサーファーの人数は北海道内でも屈指の多さとなっている。
- 山 : 佐主岳(618.6m)、姨失山(252.4m)
- 河川 : 厚真川(上流に厚真ダムがある)、ウクル川、日高幌内川、知決辺川、軽舞川
- 湖沼 : 厚真ダム貯水池、厚真川下流周辺に小さな沼が点在する。
「厚真」の由来と読み方
編集町名はアイヌ語の「アットマム」ar-tomam(向こうの・湿地帯)が「アトマ」「アツマ」に転訛したとする説[2]と、「アトマプ」at-oma-p(オヒョウニレ・ある・もの・場所)とする説などがあるが、古い地名であり、特定は困難な状況である。
1960年の町制施行に際して町が届け出た「あつま」の読みが公式の町名だが、「あづま」とも発音されることを幕末に当地を訪れた松浦武四郎が報告している。町制施行直後は「あづま」と発音する住民が大半だったが、若い世代は公式通り「あつま」と読むことが多くなっている。また厚真川の行政上の呼称は「あづま」である。混在する理由については、語頭以外の「た行」や「か行」が濁音化する北海道方言の影響と推測する言語学者もいる[2]。
気候
編集厚真町 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
雨温図(説明) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
1月の平均気温は-6.7度、8月の平均気温は20.5度、年平均気温は7.0度、最低気温極値は-27.5度(1996年1月24日)、最高気温極値は34.4度(2024年8月12日)
厚真(1991年 - 2020年)の気候 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 7.9 (46.2) |
12.8 (55) |
17.9 (64.2) |
23.9 (75) |
30.1 (86.2) |
30.8 (87.4) |
34.1 (93.4) |
34.4 (93.9) |
31.2 (88.2) |
24.7 (76.5) |
20.6 (69.1) |
13.7 (56.7) |
34.4 (93.9) |
平均最高気温 °C (°F) | −0.8 (30.6) |
−0.1 (31.8) |
4.0 (39.2) |
11.0 (51.8) |
16.6 (61.9) |
20.1 (68.2) |
23.4 (74.1) |
25.1 (77.2) |
22.3 (72.1) |
16.1 (61) |
8.6 (47.5) |
1.5 (34.7) |
12.3 (54.1) |
日平均気温 °C (°F) | −6.7 (19.9) |
−5.9 (21.4) |
−0.9 (30.4) |
5.2 (41.4) |
11.0 (51.8) |
15.2 (59.4) |
19.1 (66.4) |
20.5 (68.9) |
16.7 (62.1) |
10.0 (50) |
3.4 (38.1) |
−3.7 (25.3) |
7.0 (44.6) |
平均最低気温 °C (°F) | −13.8 (7.2) |
−13.3 (8.1) |
−6.7 (19.9) |
−0.6 (30.9) |
5.6 (42.1) |
11.1 (52) |
15.7 (60.3) |
16.7 (62.1) |
11.5 (52.7) |
4.2 (39.6) |
−1.7 (28.9) |
−9.6 (14.7) |
1.6 (34.9) |
最低気温記録 °C (°F) | −27.5 (−17.5) |
−26.8 (−16.2) |
−24.8 (−12.6) |
−15.3 (4.5) |
−3.1 (26.4) |
1.7 (35.1) |
6.8 (44.2) |
7.0 (44.6) |
0.2 (32.4) |
−4.1 (24.6) |
−14.9 (5.2) |
−23.8 (−10.8) |
−27.5 (−17.5) |
降水量 mm (inch) | 40.5 (1.594) |
32.8 (1.291) |
48.6 (1.913) |
68.5 (2.697) |
97.1 (3.823) |
84.3 (3.319) |
123.6 (4.866) |
166.5 (6.555) |
134.4 (5.291) |
95.2 (3.748) |
80.0 (3.15) |
57.0 (2.244) |
1,028.4 (40.488) |
平均降水日数 (≥1.0 mm) | 10.3 | 9.0 | 10.0 | 10.9 | 11.1 | 8.9 | 10.5 | 11.7 | 11.1 | 10.7 | 11.9 | 10.7 | 126.8 |
平均月間日照時間 | 138.9 | 132.9 | 163.9 | 167.7 | 182.5 | 146.5 | 118.8 | 138.2 | 158.1 | 153.9 | 119.8 | 113.7 | 1,735 |
出典1:Japan Meteorological Agency | |||||||||||||
出典2:気象庁[3] |
隣接している自治体
編集歴史
編集町内からは約14,500年前の細石刃核も発掘されており、この地区での人々の生活の痕跡は旧石器時代から確認される。その後、縄文人やアイヌの人々が定住しており、厚真川上流域での発掘調査で数多くの考古学的発見がある。縄文時代では約6,000年前から富良野盆地周辺域との内陸交通のルート「キラキラ土器の道」が開かれていたことが判明し、約5,100年前には豊かな山の資源も加わり大型住居跡や道内唯一の「シカ塚」を伴う集落が形成されている。約850年前の擦文文化期においては宇隆1遺跡より愛知県常滑窯の壷が発見されており、奥州藤原氏との関係のあった地域として注目されている。約800年前では、道内最古の京都産和鏡や北方系資料とされるコイル状装飾品(道内最多数)が出土しており、続く約700年前では、道内唯一のスタンプ文漆器が発見され、鎌倉幕府との直接的な関係地域として注目されている。また、富里地区ニタップナイ遺跡ではシャクシャインの戦い(1669年)前後のコタン(集落)跡が発掘調査され、当時の大名や豪商が使う酒器も出土しており、この地域の力強いアイヌの姿が見えてきている。1800年(寛政12年)に南部藩士・森田勘十郎らが浜厚真に移住したのが和人入植の最初とされる。本格的な開拓が始まったのは1870年(明治3年)に新潟県人が入植してからで、この時をもって現在の農業の町・厚真町の始まりとしている。
- 旧石器時代のキャンプ地跡。
- 1669年(寛文9年)- シャクシャインの戦いが起こる。
- 1800年(寛政12年)- 南部藩士・森田勘十郎らが浜厚真へ移住。
- 1870年(明治3年)- 新潟県三島郡出身の青木与八らが浜厚真に入植。
- 1880年(明治13年)- 勇払郡役所の管轄となる。
- 1889年(明治22年)- 苫小牧外16カ村戸長役場の管轄区域となる。
- 1897年(明治30年)- 本町に戸長役場を置く。
- 1906年(明治39年)- 二級町村制施行、厚真村。
- 1913年(大正2年)10月1日 - 苫小牧軽便鉄道厚真駅(あづまえき、現:JR北海道 日高本線 浜厚真駅)開業。
- 1915年(大正4年)- 一級町村制施行。
- 1922年(大正11年)1月18日 - 早来軌道(後の早来鉄道、現:あつまバス)が早来 - 知決辺(チケッペ、後に厚真と改称、幌内まで延長)間を開業。
- 1951年(昭和26年)3月27日 - 早来鉄道線全線廃止(早来駅-厚真駅間)、バス転換。
- 1960年(昭和35年)- 町制施行、厚真町となる。
- 1998年(平成10年)7月6日 - 日高自動車道厚真IC開通。
- 2018年(平成30年)9月6日 - 北海道胆振東部地震により、土砂崩れや家屋倒壊等の甚大な被害を受けた。道内初の震度7を観測していたことが解析により判明[4]。
- 2019年(平成31年)2月21日 - 北海道胆振東部地震の余震で震度6弱を観測した[5]。
行政
編集経済
編集産業
編集浜厚真・上厚真地区は苫小牧東部工業地域に続く地域として1980年(昭和55年)以降開発が進んでいる。苫小牧市との境に苫小牧東港が作られたほか、道内最大規模の火力発電所北海道電力苫東厚真発電所や石油備蓄基地(国家・民間備蓄量は国内最大)が置かれている。
立地企業
編集- 日本ホワイトファーム株式会社札幌事業所(日本ハムグループ)
農協・漁協
編集- とまこまい広域農業協同組合(JAとまこまい広域)本所・厚真支所
- 鵡川漁業協同組合厚真支所
- 北海道農業共済組合(NOSAI北海道)いぶり支所・いぶり東部家畜診療所
金融機関
編集- 苫小牧信用金庫 厚真支店
- JAバンク北海道(北海道信用農業協同組合連合会)JAとまこまい広域本所
郵便局
編集- 厚真郵便局(集配局、059-16xx地域)
- 上厚真郵便局(集配局、059-17xx地域)
- 軽舞郵便局
宅配便
編集公共機関
編集警察
編集- 苫小牧警察署
- 厚真駐在所
- 上厚真駐在所
消防
編集- 胆振東部消防組合消防本部
- 厚真支署
- 上厚真分遣所
姉妹都市・提携都市
編集国内
編集地域
編集人口
編集厚真町と全国の年齢別人口分布(2005年) | 厚真町の年齢・男女別人口分布(2005年) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
■紫色 ― 厚真町
■緑色 ― 日本全国 |
■青色 ― 男性
■赤色 ― 女性 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
厚真町(に相当する地域)の人口の推移
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||
総務省統計局 国勢調査より |
- 厚真町の出生数は死亡数を下回る自然減が続いているが、近年は町へ転入して来る人の数が町から転出して行く人の数を上回る社会増となる年もある。北海道の中では雪が少なく穏やかな気候であること、苫小牧市や千歳市(新千歳空港を含む)に比較的近いこと、選択の幅がある分譲販売宅地があること、手厚い子育て支援や移住支援等があること等が要因となっている可能性がある。
教育
編集- 北海道厚真高等学校(道立)
- 厚真町立厚真中学校
- 厚真町立厚南中学校
- 厚真町立厚真中央小学校
- 厚真町立上厚真小学校
交通
編集鉄道
編集※ 中心市街からは室蘭本線の早来駅(安平町)が最寄りとなる。
バス
編集※かつては苫小牧市営バスが上厚真線を運行していたが、1994年4月1日に廃止された。
タクシー
編集道路
編集船舶
編集- 苫小牧東港周文フェリーターミナル
- 新日本海フェリー(フェリーターミナル所在地:厚真町字浜厚真17-6)
※定期航路では最大規模のフェリーが入港
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
編集厚真町文化財
編集- 獅子頭 - 幌内神社
- 丸木舟 - 軽舞遺跡調査整理事務所
- 鰐口 - 浜厚真神社(保管:軽舞遺跡調査整理事務所)
- 御輿 - 厚真神社
- 振老用水路記念碑 - 朝日地区
- 青木与八記念碑 - 浜厚真神社境内
- 松浦武四郎之碑 - 富里地区
- ねつ送り及び太鼓 - 軽舞地区
- 幌内神楽 - 幌内神楽保存会
- 正楽寺の樹林 - 軽舞地区
- アイヌの丸木舟 - 軽舞遺跡調査整理事務所
- 専厚寺本堂 - 桜丘地区
- 正楽寺本堂 - 軽舞地区
- 真正寺本堂 - 市街地表町
- 厚真神社社殿 - 新町
- 厚真神社旧本殿 - 新町
- 興隆寺灯籠流し- 市街地京町
- 厚幌遺跡群出土の擦文・アイヌ文化期の精神文化遺物
文化・スポーツ施設等
編集- こぶしの湯あつま
- 厚真町青少年センター(図書室・プラネタリウム)
- あつまスタードーム(全天候型競技場)
- 厚真町スポーツセンター
- 本郷憩いの森パークゴルフ場
- 上厚真パークゴルフ場
- 浜厚真野原公園サッカー場
- 大沼野営場
- 軽舞遺跡調査整理事務所(郷土資料展示室)
祭事・催事
編集- 田舎まつり(6月)
- 海浜まつり(7月)
- あつま三本引き大会(1月)
- ランタンまつり・スターフェスタ(2月)
名産品
編集マスコットキャラクター
編集- あつまるくん
- 町民による公募と選挙を実施し決定した、当町の公式キャラクター。2013年8月18日に開催された町民体育祭「集まリンピック」で、着ぐるみの初お披露目が行われた。町の魅力宣伝部長(まちづくり推進課主事待遇)という肩書きを持ち、頭には作付面積が日本一のハスカップ、胸のおにぎりで名産のお米を、背中にはサーフボードを背負って道内屈指のサーフポイントである浜厚真を、と全身で厚真町をアピールしている。
- 公式ページ[7]
- Twitter[8]
出身の有名人
編集脚注
編集- ^ 厚真町公式サイトの位置・アクセス(2020年9月13日閲覧)には「厚真町は北海道の道央ベルト地帯の中に位置します。」と記載されている。
- ^ a b 【みなぶん特報班】「あつま」「あづま」どっち?読み方混在武四郎の時代から『北海道新聞』朝刊2020年9月13日(第3社会面)同日閲覧
- ^ “厚真 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2024年3月29日閲覧。
- ^ “厚真町は震度7 北海道内で史上初の観測 気象庁”. 朝日新聞デジタル (2018年9月6日). 2018年9月7日閲覧。
- ^ “北海道厚真町で震度6弱 22日朝も鉄道に乱れ”. 『日本経済新聞』. 日本経済新聞社 (2019年2月22日). 2019年2月22日閲覧。
- ^ 町長の部屋 - 厚真町
- ^ 厚真町キャラクターページ:厚真町ホームページ