-
Notifications
You must be signed in to change notification settings - Fork 0
/
volume-3.txt
346 lines (345 loc) · 25.3 KB
/
volume-3.txt
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
75
76
77
78
79
80
81
82
83
84
85
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
100
101
102
103
104
105
106
107
108
109
110
111
112
113
114
115
116
117
118
119
120
121
122
123
124
125
126
127
128
129
130
131
132
133
134
135
136
137
138
139
140
141
142
143
144
145
146
147
148
149
150
151
152
153
154
155
156
157
158
159
160
161
162
163
164
165
166
167
168
169
170
171
172
173
174
175
176
177
178
179
180
181
182
183
184
185
186
187
188
189
190
191
192
193
194
195
196
197
198
199
200
201
202
203
204
205
206
207
208
209
210
211
212
213
214
215
216
217
218
219
220
221
222
223
224
225
226
227
228
229
230
231
232
233
234
235
236
237
238
239
240
241
242
243
244
245
246
247
248
249
250
251
252
253
254
255
256
257
258
259
260
261
262
263
264
265
266
267
268
269
270
271
272
273
274
275
276
277
278
279
280
281
282
283
284
285
286
287
288
289
290
291
292
293
294
295
296
297
298
299
300
301
302
303
304
305
306
307
308
309
310
311
312
313
314
315
316
317
318
319
320
321
322
323
324
325
326
327
328
329
330
331
332
333
334
335
336
337
338
339
340
341
342
343
344
345
346
水 みつとり をし かも
にを う かめ いを
こい ふな すすき たい
あゆ ひを かは かはつ
はし ひ ゐせき しらかみ
夜かは あしろ やな え
いけ ぬま うき たき
にはたつみ うたかた さは ふち
せ うみ あま たくなは
しほ しほかま ふね つり
いかり あみ なのりそ も
みるめ われから うら かひ
なきさ しま はま ちとり
はまゆふ さき いそ なみ
みをつくし かた みなと とまり
水
あしひきの山下とよみ行水の ときそともなくおもほゆるかな
源よしのあそん
足引のやましたみつのこかくれて たきつ心をせきそかねつる
あしひきの山下みつのしたくくり 行ほとしらぬこひもするかな
ことならはやました水となりななん ひとめしけきのなかもゆくへく
しのふれとくるしき物をあしひきの やましたみつのつねになかれて
夏の野のくさしたかくれ行水の たえぬ心ある我としらすや
おもふとはなにをかさらにいはし水 こころをくみて人はしらなん
伊勢
はることになかるるかはをはなとみて おられぬ水に袖やぬれなん
いはせ山谷の下水うちしのひ 人もみぬ間になかれてそふる
ぬま水のなみにはたててそこふかみ くさかくれつつあふよしもかな
をとなしの山の下行ささら水 あなかまわれも思こころあり
おく山のこのはかくれにゆく水の をと聞しより常にわす◦れす
つらゆき
松をのみときはとおもふはよとともに なかるる水もみとりなりけり
きみかよにあふさか山のいはしみつ こかくれたりと何おもひけん
つくはねのいはもととろにおつる水 たえん物とはわかおもはなくに
みつとり さかの女郎
水鳥のかものはいろのはるやまの おほつかなくもおもほゆるかも
もみちするあきはきにけり水鳥の あをはのやまの色つくみれは
いもこふといねぬあさけに水とりの こゑよはり行いもかつかひか
大女らうのこ
水とりのうかふこのいけのこのは落て うける心をわかおもはなくに
たたふさ
水鳥のはかなきあとにとしをへて かよふはかりのえにこそ有けれ
みつとりのおのかうかへるこころもて ふちをもせとやおもひなすらん
風ふけはよとをむつふる水とりの うきねをのみやわかねわたらん
人ことのしけみはされはみつとりの かものうきねのやすけくもなし
をし
はねのうへのしもうちはらふ人もなし をしの ひとりね今朝そかなしき
ふゆのよをねさめてきけはをしそ鳴 はらひもあえすしもやをくらん
いけにすむなををしとりの水をあさみ かくるとすれとあらはれにけり
をしとりのかはへにひとりなくよしも みきはのなへてさえまさるらん
きみか名もわか名もをしのひとつかひ おなしえにこそすままほしけれ
しろたへのなみふみちらすをし鳥の はかなきあとと人やまちみん
しもこほり心もとけぬ冬の池に よふけてそ鳴をしのひとこゑ
つらゆき
ふかふともしつむともなきみなそこに なををしとりのそこにとそ思ふ
かも つらゆき
すにぬれはいさこのいけにまかふとり てにとるはかりなりにけるかな
みつね
しらなみのうてともたたすむれゐつつ ひとにとほかもめめれたるとり
なれてこしおきのかもめはつけなくに 後の心をいかてしりけん
冬のよのかものうはけにをくしもの きえて物思ふ比にもある哉
音にたててよるはわふてふうきかもの わかみかくれにとひもきななん
なにはめのみつうきかよふあしかもの したにかよひてあはれてそ思ふ
あしかものさはく入えのしらなみの しらすや人をかくこひんとは
芦へ行かものはをとのをとにのみ ききつつ人をみてややみなん
ゆはらのおをきみ
よしのなるなつみのかはのかはよとに かもそ鳴くなる山かけにして
大とものさかのうへのらう女
よそにつつこひつつあはすは君がいゑの いけにすむてふかもならましを
つらゆき
いのりくるかもとおもふをあやなくも かもめさへたたなみてみゆらん
しきたへのまくらにたにも我をなせ かものうきねはくるしかりけり
こきもこかこふるにやあらんおきにすむ かものうきねのやすけくもなし
さいたまのおさきのいけにかもそはねきる おのかおにふるをけるしもはらふ◦
にほ
にほ鳥のしたやすからぬ思ひには あたりの水もこほらさりけり
しものうへにとひかふかものは風には ひとりあるひとのいもねかねつる
にほとりのおき中かははたえぬとも 君にかたらふことつきめやは
鳰とりのおなしうきねをするときは よふかきこゑをともにこそきけ
君かなもわか名もたてしいけにすむ 鳰といふ鳥のしたにかよはん
あふことのなきさによする鳰鳥の うきにしつみて物をこそおもへ
さかのうへのらう女
にほとりのすたくいけみつ心あらは きみにわかこひこころしめさね
はるのいけのたまもにあそふ鳰鳥の あしのいとなき恋もするかな
ひとりのみみつのほりえにすむ鳰の そこはたえすもこひわかる哉
う やかもち
年ことにあゆしはしれはさはた川 うやつかつけて川瀬たつねん
しら川のせをたつねつつわかせこは うかはたたせめこころなくさに
うかはたちとりさむあゆのしたはたえ 我にかきりにおもひしおもへは
かめ
ふるかはのそこのこひちにありときく かめのこふともしらせてしかな
大井川ゐせきにふせるかめのやまの いのちのかきりあひみてしかな
つらゆき
波まより出くるかめはよろつよと 我おもふことのしるへなりけり
いほ
わたつみのかみのしまけるいをゆへに こきなつかれそあまの釣船
いせのうみに釣するあまのいををなみ うけもひかれぬ恋もする哉
こい
行水のしたなるこいのくるしきは あみの人目をつつむ成けり
よと川のそこにすまねとこひといへは すへていをこそねられさりけり
ふな
おきへゆきへにきいまやいもかため わかすなとれるもふしつくふな
人しれす水の下にはかよへとも あふなはとらしとおもひし物を
すすき
ううきつるふけゐのうらのあまにもか 今なきゆきていへつしまみん
すすきつるあまのたくひのよそにたに みぬ人ゆへにこふるこのころ
あらいそのふちえのうらにすすきつる あまとかみらんたひ行我を
たひ
あふことをあときのしまにひくたひの たひかさならは人もしりなん
あゆ
君ませは物もおもはすたまかはの せにふすあゆのやなほこりして
あたらよをいもともねなてとりかたき あゆとる〳〵といわの上にゐて
ひを
うち川のせせにありてふあしろきに おほくのひをもわひさする哉
なかれくるもみちの色のあかけれは あしろにひをのよるもみえけり
すくしくる日をかそふれはうちかわの あしろならねはよらしとそ思ふ
かは
みよし野のおほかは水のゆをひかに あらぬものゆへなみのたつらん
川のせになひくを見れはたまもかも ちりみたれたる川のつねかも
みかくれていきつきあまりはやかはの せいはたつとも人にいはめや
むかしみしきさのをかはを今朝みれは いよ〳〵きよく成にけるかな
たたみね
にこりなききよたき川のきしなれは そこよりさくとみゆるふちなみ
たえす行あすかの川のゆらさらは ゆへもあらしと人のみらくに
をちへ行こちかせ川にたれしかも いろさりかたきみとりそめけん
照月のかつらの川しきよけれは うゑした秋のもみちをそみる
つのくにのいくたの川のいくたひか 君をこひしと我おもふらん
今さらにさらしな川のなかれても うきかけ見せん物ならなくに
からころもたつたの川のこゑきけは 今はきぬともおもほゆるかな
朝ことにいくみの川のみをたえす こひしき人にあひみてしかな
いもか門いて人の川のせをはやみ 我むまつまくいもいもこふるかな
とねかははそこはにこりてうはすみて ありける物をさねてくやしく
むこ川の身をすみはやすあかこまの あしかきそそきぬれにけるかな
ふしかわのよにすむへくもおもほえす こひしき人のかけもみえねは
たま川はまさらはまされまこまのの こまののとののふねならなくに
よと川のよとむと人はみるらめと なかれてふかきこころある物を
ほり川のせきのゐくひのうちわたし あはても人にこひらるるかな
あさことにきけははるけしいつみ川 あさくききつつうたふふな人
みたれつつ人たによらぬいとは川 なみのさはくはみつをよるとか
我袖を今もかはかくゆふ川か またかへりこんよろつよまでに
やうせいゐんのさせい
つくはねのみねよりおつるみなの川 こひそつもりてふちと成ける
つらゆき
つねよりもあるきにけれはさくら川 なみのはなこそまなくよすらめ
君こふと人しれねはやきのくにの おとなし川のをとにたにもせぬ
人しれすぬれにし袖のかはかぬは あふくま川の水にやあるらん
身にちかきなをそたのみしみちのくの ころもの川とみてやわたらん
いにしへのかしこきひとのあそひけん よしのの川はみれとあかぬかも
君こすはたれにみせまししら川の せせにうつまくたきのしらたま
みちのくにありといふなるたま川の 玉さかにてもあひみてしかな
千とり鳴ゐなのかはらをみるときは やまとことともおもへゆるかな
つくしなるおほかた川の大方は 我ひとりのみわたるうきせか
ゆふたすきかけてもひとをたのまねと なみたはかもの川にこそたて
みよし野のあきつの川のよろつ世に たゆるときなくまたかへりみん
ももしきの大宮ちかきみみと川 なかれてきみをききわたるかな
ミマホシミコシラシシルクヨシノ川 ヲトノサヤケサミルニトモシク
ヲハステノ月ヲシメテシミミト川 ソコヲノミコソシノヒワタラメ
をとにのみきかまし物ををとは川 わたるとなしにみなれそめけん
かりにてもわかるとおもへはかみなかは せせの千鳥のみたれてそなく
こころにもあらてわかれしあひつかは うき名を水になかしつるかな
めなし川みみなしやまのみみきかす ありせは人をうらみさらまし
ふちせともなにかたのまんいもせ川 こころはせにしよらんとおもへは
世の中はなそやまとなるみなれ川 みなれそめすそあるへかりける
いのりつつたのみそわたるはつせ川 うれしきせにもなかれあふやと
よの中をいとななけきそあすかかは あすかの川はふちせなりけり
みかのはらわきてなかるるいつみかは いつみきとてか人こひしかるらん
たひ人のまきなかといふにふかわは ことはかよへとふねそかよはぬ
はりまかたうみにいてたるしかま川 たえん日にこそわかこひやまめ
みつ川のふちせもしらすさほさして かりのころもてほす人もなし
いもせ川なひくたまものみかくれて われはこふとも人はしらしな
すすか川をとにききてやよをはへん としふることになるるよもなく
いなは川いなとしつゐにいひはては なかれてよにもすましとそ思ふ
タマ川ハマサラハマサレマコマノノ コマノノ殿ノフネナラナクニ
わすれ川よくみちなしとききてこそ いとふのかみもたちはよりけれ
ひろせ川袖つくはかりあさきをや 心ふかめて我はおもはん
おもふともをとなし川のわとなせそ したには水のたえぬものから
つくり川たゆることなくおもふにも ひとひもきみをいみそかねつる
なかれてもたえしとそ思ふおもひ川 いつれかふかき心成ける
トシフレトソテヒツカハノウツマキニ コヒシキ人ノカケナカリケリ
あはれとはおもひわたれともかみ川 ふちをもせをもえこそさためね
大井川おろすいかたのいかなれは なかれてつねにこひしかるらん
いはたきにいそさへとよむうふ川の あかたふたれて我おもはなくに
うつつにはさらにもいはすなりまなる ゆめさき川のなかれてもあはん
いはた川いそさへさはくゆちかはの したはくつれておもふころかな
ゆふたすきかけても人をたのまねは なみたはかもの川にこそたて
秋かせの吹たつた川もみちはの にしきをみつついかかわたらん
よなつかはふむせさためぬよときけは 我もふかくたのまるるかな
ねふれとそ袖ひつかはのうへきまに こひしき人ノかけなかりけり
くたら川かはせをはやみあかこまの あしのそそきにぬれにける哉
かはす
みよし野のいはもとさらすなくかはつ むへもなくらん川のせきよみ
小山田のふかたのかはつ何ゆへに こひちにぬれて鳴ならなくに
我やとのあひやとりしてすむかはつ よるになれはや物はかなしき
やまふきのはなかけみゆるさは水に 今そかはつのこゑきこゆなる
せをはやみをきたちつらししらなみに かはつ鳴也朝夕ことに
草枕たひに物おもふ我きくに ゆふかたかけてなくかはつかも
たま川のひとをもよきす鳴かはつ このゆふかけはおしくやはあらぬ
秋風にかはつつまよふゆふされは ころもてさむしまくらせんとか
さは水にかはつ鳴なりやまふきの うつろふかけやそこにみゆらん
をとはかりおつるしら川しらねとも かはつかこゑをとめてきにけり
あふさしてかはつなくなるみわ川の きよきせのをとききしはよしも
はし
かつらきのわかるくめちのつきはしの こころもしらすいさかへりなん
いそのかみふるのたかはしたか〳〵に いもかまつらんよそふけにける
〽︎さほかはにこほりわたれる鶯の うすき心を我おもはなくに
こひしくははまなのはしをいててみよ した行水に影やみゆると
つのくにのなにはのうらひとつはし きみをおもへはあからめもせす
なか空にきみもなりなんかささきの ゆきあひのはしにあからめなせそ
伊勢
人わたすことたになきをなににかも なからのはしと身のなりぬらん
なにはなるなからのはしもつくるなり 今は我身を何にたとへん
已上二首伊勢
しらくものたなひきわたるあしひきの やまのたなはし我もわたらん
さねき
さしなからのはしらつゆにぬれにけり あきてふことをくれなゐにして
已上二首貫之
せのやまにたたにむかへるいもせ山 こときこゆやもうちはしわたす
まののうらのよとのつきはし心にも おもふかいかゆめにみえつつ
をはたたのいたたのはしのこほれなは けたよりゆかんこふなわきもこ
いせ
ふるる身はなみたの川にみゆれはや なからのはしにあやまたるらん
ひ
さほ川にこほりわたれるうすらひの うすき心をわかおもはなくに
水鳥のかものすむいけのしたひなく いふかしきいもをけふみつるかな
ゐせき
大ゐ川井せきにこえて行水の たえすも物をおもふころかな
大井川せきのふるくひとしふとも 我わすられんとやはおもひし
たひとあらは後のなくさめあるへきを なみたのゐせき水やこえなん
おほゐ川井せきのゐくひうちわたし こひしとのみやおもひわたらん
ゐせきにもさはらさりけりもみちはは おちくる水の色にみえつつ
あさことに井てこすなみのたやすくも あはぬいもゆへたきもととろに
しからみ
わきもこにわかこふらくはみつならは しからみこえてい◦ぬへくおもほゆ
たまもかるゐてのしからみうすきかも こひのよとめる我こころかも
あすからはせせにたまもはおほかれと しからみあれはなひきてそあはす
貫之
涙川そこのみなかみはやければ せきそかねつる袖のしからみ
秋はきのはなのなかるる川せには しからみかくるしかの音もせす
大井川心しからみかみしもそ ちとりしは鳴夜そふけにける
人しれぬなかはしからみかけたれは こひしきせにもあふよしのなき
春みちのつらき
やま川に風のかけたるしからみは なかれもあへぬもみち成けり
い勢
水もせにうきぬるときのしからみは うちのとのともみえすそ有ける
たたみね
せをせけはふちとなりてもよとみけり わかれをとむるしからみそなき
よかは つらゆき
かかり火の影となる身のわひしきは かなれてしたにもゆるなりけり
大ゐ川うかふう舟のかかりひに をくらの山の名のみ成けり
つらゆき
大空にあらぬ物から川上に ほしかとみゆるかかりのひのかけ
かかり火にあらぬ物からなそもかく 涙の川にうきてみゆらん
かかりひの影しうつれはむはたまの よかはの水はそこも見えけり
かつら川よるかひのほるかかりひの かかりけりともいまこそはしれ
あしろ 人丸
もののふのやそうち川のあしろ木に いさよふなみのよるへしらすも
みつね
川上にしくれのみふるあしろ木に もみち葉さへそおちまさりける
つらゆき
落つもるもみちは見れはももとせの あきのとなりはあしろ成けり
つらゆき
もみちはのなかれてとまるあしろにき しらなみもまたよらぬ日そなき
みよし野のよしのの川のあしろには たきのみなわそおちまさりける
つらゆき
よち川のなかになかれてきみまさは 我もあしろによりぬへき哉
うち川のなみのよる〳〵ねをそ鳴 あしろもるてふひとのつらさに
やな
やなみれは川かせさむく吹ときそ なみのはなさへ落まさりける
あた人のやなうちわたすせをはやみ 心にはおもへとたたにはあらぬかも
江
入江こくたななしをふねこきかへり おなし人のみおもほるかな
たまつしま入えのこまつ人ならは いくよかへしととはまし物を
みちのくのたまつくりえはこくふねの をとにはたてす君こふる身は
つらゆき
つのくにのなからへゆかはわすられて なをもみくまのほりえなるらん
わかれては後そかなしきにこりえの そこともしらぬありかとおもへは
心にもあらてうきよにすみのえの きしとはなみにぬるる袖かな
みなといてはなみさわかしみあしまよふ えいこそ人を思へらなれ
いせのうみのをののみなとのなかれえの なかれてもみんひとのこころを
あはれてふ心ひとつにつくまえを こひわたるとはしらすやあるらん
すみのえのめにちかからはきしにゐて なみのかすをもよむへきものを
アキカセノチエノウラホノコトツミナル ココロハヨリヌノチハシラネト
いけ
我せこかおゆるかをしささたのいけの たまもにもかなかりあけはやさん
つらゆき
あめふるとふくまつ風はきこゆれといけのみきははまさらさりけり
さるさわのいけもつらしなわきもこか たまもかつかはみつもひなまし
こひをのみますたの池ぬうきぬなは くるにそもののみたれとはなる
あたなりて人めつつみにせかれにし 池のみつともゆかぬこころか
あたなりとなにはいはれの池なれは 人にねぬなはたつにさりける
おもへとも人めをつつむ涙こそ あさつのいけとなりぬへらなれ
かつまたの池にすむてふこひ〳〵て まれにもよそにみゆそかなしき
はらのいけに生るたまものかりそめに きみを我おもふ物ならなくに
あふことはならしの池の水なれや たえみたえすはとしのへぬらん
にほ鳥のさはかすかたのいけ見れは みなととのみそたつへかりける
水鳥のうきて心のまとふかな みやちのいけにとしはへぬれと
何事もいはてのこしたの池にたつ かくいひしらぬ物はおもほす
おなしくはきみとならひのいけにこそ 身をなけつとも人にかたらめ
あしかものすたく池水まさるとも ゐせきのかたに我こひめやは
あか人
いにしへのふきつつみはとしふかみ 池のなきさにみくさおひにけり
ぬま
おくやまのいはかきぬまのみこもりに こひやわたらんあふよしをなみ
みくさ生てありともみおぬぬま水に したのこころをしる人そなき
くれなゐのいろにはいてしかくれぬの したにかよひてこひはしぬとも
いつとてか我こひさらんみちのくの あさかのぬまはけふりたゆとも
かくれなくあはすなりなはみちのくの いかほのぬまのわれにかにせん
かくれぬのした行水のおもほえは いかにせよとか我ねそめけん
かくれぬのしたにこふれはあきたらす 人にかたりついむてふものを
うき
あしねはふうきはうへこそつれなけれ したはえならすおもふこころを
何こともいはれさりけり身のうきは おひたるあしのねのみなかれて
あしのねのよはき心はうきことに まつをれふして根そなかれける
たき つらゆき
はるくれはたきのしらいといかなれや むすへともなをあはに見ゆらん
なかれくるたきのいとこそよはからし ぬけとみたたれて落るしら玉
いととさへみえてなかるる滝なれは たゆへくもあらすぬけるしらたま
おもふことたきにもあらなんなかれても つきせぬ物とやすくたのまん
山高みこすゑを分てなかれくる 滝にたくへておつるもみちか
はるたちて風やふきとくけふみれは たきのみをより玉そちりける
しらくもやみたるるとのみみえつるは おちくるたきのつねにそ有ける
山わけて落くる滝をしらくもの たなひくとのみおとろかれつつ
已上八種つらゆき
ももくさのはなのかけまてうつしつつ をともかはらぬしら川の滝
へむせう
今さらに我はかへらし滝みつつ よへときかすとよははこたへよ
いせ
みなかみとむへもいひけりくもゐより 落くることもみゆる滝かな
しんたい法師
きよたきのせせのしらいとくりかため やまわけころも折てきましを
つらゆき
みつとのみおもひし物をなかれくる たきはおほくのいとにさりける
いしまよりおちくる滝のなみまにも 人をわするる我こころかな
つらゆき
いかにして数をしらましおちたきつ たきのみをよりおつるしら玉
うちたえておつるなみたになる滝の たきれて人を見ぬかわひしき
たきつせのはやき心をなにしかも 人めつつみのせきととむらん
行水の我心にしかなはねは 身とまつたきとなりやしぬらん
かさのかなむら
としことにかくもみたしかみよし野の きよきかうちの滝のしらなみ
やまたかみしらゆふはなにおちたきつ たきのかふちは見れとあかぬかも
ぬきみたる人こそあるらしししらたまの まなくもふるか袖のせはきに
あしひきの山路しらねとまとはれす をとはの滝のこゑのしるさに
白川のたきのしらいと見まほしみ よるをそ人はまつといふなる
しら川のたきのいと見まほしけれと みたりて人はよせし物をや